『日本の時刻制度 増補版』(塙書房 橋本万平著)

さて和時計関連書籍のご紹介、第二弾は『日本の時刻制度 増補版』(塙書房刊 橋本万平著)をご紹介いたします。著者の橋本万平先生は京都大学理学部物理学科卒業後、海軍機関学校教官、旧制姫路高等学校教授、神戸大学教授を経て神戸大学名誉教授を歴任されました。 1913年のお生まれで、2006年11月に故人となっておられます。

『日本の時刻制度』は「日本の旧時刻制度研究の開拓者にして集大成で、 現在でも時刻制度研究に欠かせない研究書です。 」(SuicaWikiより引用)とされていますが、初版に合わせて書かれた「序」において、二十年余り研究してきたが「今だに確信ある結論に達する事が出来ない」と橋本先生ご自身は書かれています(昭和四十一年五月五日付け)。増補版の「後書き」では説明不十分で物足りず間違いや不備が目立つので「私は一応絶版にするとまで公言したことがある」と書かれています(昭和五十三年二月二十八日付け)。

同じく後書きでは「不備なこの本を踏み台にして、「日本の時刻」についてより進んだ研究が、若い研究者の中から出ることを、十二年前と同じ様に今も心から祈っている」とのことでしたが、時刻制度を正面から取り上げてメインテーマとした書籍は筆者の知る限りでは結局その後も出ていないようです。次で取り上げる予定の『暦と日本人』(雄山閣出版刊 内田正男著)でも時刻制度については一章が割り当てられていますがわずか13ページだけしかありません。

その点本書は時刻制度をメインテーマとしているので、古代から奈良朝、室町時代を経て江戸明治と時刻制度がどのように変遷してきたのかを詳らかにし、膨大な資料を元に検証していきます。また、学術的な観点から赤穂浪士の討ち入りの時刻を検証した節などもあるため、時代劇好きな方にも興味を持っていただけるのではないかと思います。

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こうした書籍は、通常だと絶版となってしまい、高価な中古本しか手に入らないことが多いのですが、本書についてはオンデマンド出版となっており、手軽に新品を入手出来るのがありがたいところです。和時計を通じて不定時法にご興味を持っていただいた方に、ぜひお勧めしたい一冊です。

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