『和時計 江戸のハイテク技術』(淡交社刊 澤田平著)

和時計に関する本でまずこれをとご紹介するのであれば、筆頭はこちら澤田平先生のご著書『和時計 江戸のハイテク技術』になります。

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澤田先生はもともと日本の古式銃、いわゆる火縄銃などの「和銃」の研究をされていた方ですが日本の銃砲史が時計史と軌を一にしていることに気づかれ、様々な法規制から古式銃の再現は難しいものの、同様の技術をもって作られた和時計を再現することで和銃の研究の代替とされたとのこと。製作した和時計は多数におよび国立博物館などでも展示されております。

さて、本書では鉄砲と和時計の関係を論じた「鉄砲からみた和時計」に始まり、和時計の歴史やその構造について微に入り細を穿って解説されています。特に和時計の内部構造については、ご自身で考案復元した機構やその命名などについて詳しく解説されています。盗人金・舌・蛭くわえ・地板など名前のない部品に名前を付けるくだりなどは、その機構に合わせた命名がなるほどと唸らせられます。

また、巻頭のカラー写真はもちろんのこと、各ページに掲載されたさまざまな和時計の写真、部品の図解など多様な資料がぎっしりと詰め込まれています。構造と意匠の両面から、これでもかとばかりに和時計の魅力を見せつけられます。当方の和時計アプリの示針のデザインも本書記載の袴腰型示針の図解からインスパイアされたものです。この場を借りてお礼申し上げます。

ところで、実は「はじめに」で書かれている「このような複雑な時刻表示は、今日ならばコンピューターが簡単に解決してくれるでしょう。」という下りがありまして、これについては「いえいえコンピューターでもそんなに簡単ではないのです。」と抗弁させていただきたいところです。実際に、和時計というより不定時法については調べれば調べるほど深みにハマるところが多く、これを実際のアルゴリズムとして全体を構成するのには相当な苦労がありました。

本書では和時計のハードウェアとしての構造、構成については相当に深い考察と記述がされているのですが、実は本書を読んだだけでは不定時法について細かいことが分かりません。そちら、つまりソフトウェアとしての和時計=不定時法については、次稿でご紹介する予定の橋本万平先生の『日本の時刻制度 増補版』を待たねばなりませんでした。

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